今日は朝から、スケジュールばっちりだ。イタリア旅行初めての終日フリー。ローマにての行動になるのだが、イタリア旅行に行くなら「サッカー見るしかないでしょ!」というのは事前に決めていたので、朝から「ヴァチカン美術館」、昼から「サッカー観戦」ということになった。
何でも、毎月の最終日曜は「ヴァチカン美術館」の観覧が無料になるので、めちゃくちゃ人が混むみたい。それを考慮に入れて8時45分開場のところを、早めに起きて7時30分にはミュージアムに到着。ツアーで知り合った女の子2人組も「ヴァチカン美術館」に行くということなので、ホテルの前でタクシーを拾って4人で移動。タクシーの運転手はイタリア代表のガットゥーゾみたいなおっさんだった。「これは何かありそうだぞ」と思っていたら案の定、このおっさんは完全な「飛ばし屋」だった。あまり広くなく、イタリア特有の急カーブの多い道をひたすら80kmオーバーで走りやがった。僕は後部座席に座っていたので、そうでもなかったが、助手席に座っていた連れは完全にビビッていた。まぁそんなわけで、とりあえず到着。開場一時間前にも関わらず、すでに100人くらいは並んでいた。それでも僕は全然前の方だろう。8時を回った辺りからツアーバスや個人観光客などが、一斉に大挙として押し寄せ、とんでもない列が出来上がった。
待っている間、一緒に来た女の子としゃべっていたら、一人の女の子が奈良に本社のあるM社に行くらしく、そこには僕の予備校時代の友達も入社することになっていたのだ。世界は狭いよね、偶然にびっくり。名前を出して聞いてみたところ、「ああっ!知ってる知ってる。懇親会でいっぱいしゃべったよ」とのこと。そしてそいつは、僕の1月2日の日記にも登場した、新春早々難波の駅をゲロまみれにしたアホ野郎なのだ。詳しいことはコチラから。その女の子は、そんなこと全然知らないんだろうな。でもそんな変なキッカケから、その二人組ともすごく仲良くなった。M社に行く女の子ではない、もう一の女の子は、何でも国立大学の教授の秘書になることが決まってるらしい。その女の子ね、めちゃ秘書っぽいんよ。AVビデオを愛する全国2000万人の男性なら分かってくれるでしょう、僕の伝えたいこと。旅行なのにも関わらず、しっかりとした服装に、当然のごとくメガネ。その女の子が、開場を待ってるワタクシにいきなり浴びせかけてきた言葉
「自分、なんかいつも半笑いやな〜。はは。」
ですって。そりゃ僕いつも笑顔ですよ、笑顔がトレードマークですよ、就活の面接でもそれを武器に頑張ってきましたよ。なのにそれを出会って間もない女の子から、いきなり忠告されるとは・・・僕のガラスのハートも粉々ですよ、これでは。そんなエロイかな〜、俺。。
傷心の心を引きずりながらも、開場。ボディチェックを受けたあと、ようやく入館。「ヴァチカン美術館」はけっこう大きく、一日かけないと全部見れないのですが、僕らは半日しか時間がないので、適当に有名どころを回ることに。まず壁面に全て絵が描かれている道に驚く。「ヴァチカン美術館」は、もちろん素晴らしい絵画や骨董品などが展示されているんやけど、もうそれ自体が「芸術品」なのよね。ほんとにすごい。その道を通り抜け「ラファエロの間」に。ここには、世界史の資料集とかにも絶対載ってる「アテネの学堂」があるのです。実際に見た「アテネの学堂」は壁一面に描かれていて、すごい壮大だった。左下のところが、ドアにかぶっていて、それを避けて描かれていたのにも、すごい歴史を感じた。このドアは昔から存在するのか、それとも改修工事かなんかで取り付けたのか。誰かに聞いてみたかったが、イタリア語全然わからんし、あきらめた。
その後、ここ「ヴァチカン美術館」一番の見所である「システィーナ礼拝堂」の「最後の審判」を見に行く。見たよ、見ちゃいました。でっかいよ〜〜。ほんとに。世界史の資料集なんかにある、あの天国と地獄をごっちゃにしたような、カオスの絵が天井一面にありました。すごいっす!!これフォト禁止だったのが残念やな〜、ほんとに。それから、「ピナコテカ」と呼ばれる、絵画を集めたコーナーに行く。ここにはダヴィンチの絵もあったりして、よかった。ダヴィンチの絵の価値なんて、当たり前のごとくわからんけど、「これがダヴィンチの描いた絵か〜、すげ〜な〜〜」と至極日本人的見解を持ってしまった。ヴァチカン美術館の中にあるヴァチカン郵便局にて、絵葉書と記念切手を購入。ローマ法王のおじいちゃんが描かれた切手だ。元気になったのか、あのおじいちゃんは。昼前にヴァチカン美術館から出る。そして二人の女の子とはお別れ、バイバイハニー☆
昼からはいよいよサッカーだ。とうとう来たぞ。半ばサッカーのために、イタリアまで来ちゃった感もあるぐらいだ。楽しみ、うふふっ。昼食を食べる場所を探していたら、ツアーで一緒だった30歳の男の人と遭遇。その人もサッカーを見に行くみたいなので、行動を一緒に。お昼ご飯を食べたあと、ASローマ&ラッツイオのホームスタジアムである「スタジアム・オリンピコ」に向かう。しばらくすると、急に雨が降ってきやがった。イヤだーーー、雨はキライだ〜〜!!仕方ない。仕方ないから歩いた。昼飯を食ったところのおっさんが流暢な日本語で、「ワタシ、サッカーきらいよ。ラグビーすきよ。オリンピコちかいよ。あるいてすぐよ」なんて言ってたので、歩いていくことにしたんやけど、これがまたどうにも遠い。雨降りも重なって30分以上歩いた末、ようやくスタジアムの姿が見えてきた。
近くで見るとでかい。甲子園ぐらいだろうか、人もけっこう集まってきてる。いろいろ悩みながらチケット売り場で、バックスタンドの席を30ユーロで購入。普通は絶対に買わないようなラッツイオのマフラーも購入した。やべーー、テンションが激アゲアゲだ。マフラーってすごい、こんなにテンションと正の相関を持っていたとは。サッカーにマフラー。甲子園に黄色いメガホン。やっぱこれだな。
今日の試合はラッツイオvsパルマだ。ラッツイオのメンバーは誰も知らない。パルマの方がたぶん知ってる。ジラルディーノだ。イタリアの若き至宝がいる。カンナバーロ弟もいる。GKはフレイだ。ポニーテール男だ。それでも、今日はラッツイオのサポーターだ。それこそ周りを見てもラッツイオ色の「水色」サポーターしかいない。ここでパルマを応援しようものなら、粛清を食らうだろう。厳しいボディチェックのあと、ようやくスタジアムの中に入った。でけ〜〜〜〜〜〜!!こりゃでかい!!さすが収容8万7千人だ。こんな闘いの舞台に来たのは初めてだ。景気付けに連れと、イタリア特有の非常に濃いエスプレッソを一杯、ごくっといった。これだな、ビールよりエスプレッソ。胃にくる、非常に胃にくる。スタジアムではすでに発炎筒が焚かれ始めている。すげー、ほんとにすげーわ。両チームの練習がしばらく続き、選手発表が終わったあと、ようやく選手入場。すげーー、何がって、パルマの選手に対するブーイングがすげー。そしてパルマサポーターはアリぐらしかいない。これがアウェイの闘いなんだな。テンションが高くなりすぎて、ジャンプを繰り返していたら、いつの間にか試合が始まっていた。もうそこからは、我を忘れてラッツイオを応援。
試合の方は、開始10分くらいで、相手チームの選手がエリア内でハンドを犯してしまったので、PKをゲットした。無事これを決める。うぉおおおお〜〜〜〜!!!!すごい盛り上がりだ!!一日ラッツイオ・サポーターの僕ですら、めちゃくちゃ盛り上がった。それからも、高校時代ハンドボール部だったことを活かして?か、非常に身勝手な応援をし続ける。「そこでつぶせ!!」だの、「前で当たれ!!」だの、「右、早く上がれ!!」だの大声で叫びまくった。楽しい。世の中にこんな楽しいことがあるなんて、知らなかった。
ライブと一緒だ。生まれて初めて行ったライブがミスチルで、生で「名もなき詩」を食らったときの感動と全く一緒だ。ミッシェルの「ジェニー」もそうだった。全身の血が逆流して、知らないうちに両手を上に上げている。ひたすらデカイ声を出し、騒ぎ続ける。これだ。僕の人生は、たぶんこの2要素から構成されていて、これからもこれさえあれば十分なんだろう。両手を上げ、騒ぐ。この2つ。もう言うことはない、最高だね。
前半はラッツイオが1点リードのまま折り返した。もう楽勝の雰囲気だ。後半が始まっても、ラッツイオ優勢は変わらなかった。それでもすごいヤツが一人だけいた。ジラルディーノだ。やつはほんとすごい。ヴィエリみたいな重戦車タイプではないが、非常に柔らかい印象をもった。圧倒的に劣勢なパルマにおいて孤軍奮闘するヤツは、なんとオーバーヘッドを2発も放った。1発は枠を外れたが、もう1発はしっかりと枠を捉え、ゴールキーパーがなんとか弾いた。ラッツイオの2枚のDFはジラルディーノをマークするだけでよかった。でもそれがなかなかできない。背中にDFを背負ったままでも、ジラルディーノは常にゴールを意識しながら闘っていた。パルマの中で、ゴールを意識してラッツイオに向かっていたのはヤツだけだ。そすがイタリアの至宝だね、ヤツを見れただけでもココに来れてよかった。
音楽が大好きな人の中で、サッカーも大好きな人が多数いることを僕は知っている。たぶん音楽とサッカーなどこかで繋がっているんだろう。僕はその答えが知りたかった。僕は音楽が大好きだし、だったらサッカーも好きになる要素十分あるだろう、と思ったからだ。
試合も中盤を迎え、常に優勢でひたすら攻め続けるラッツイオを見ていると、面白い瞬間にぶち当たることに気付いた。なんというか一瞬のひらめきみたいに何人かの選手が、一つのボールを中心にハーモニーを奏で始めるんですよ。語彙の少ない僕には、これはもうハーモニーと例えるしかない。その瞬間といったら、もうすげーかっこいいのよ。何か知らん間に、自分の予想だにしないプレーが起きる。なんとなく音楽との関係性がわかった瞬間だった。
試合はその後、終了間際にラッツイオがもう1点追加した。僕たちの前には非常にいとおしいおっちゃんサポーターがいて、ラッツイオの1プレー1プレーにアクションをしてくれるのだが、このゴールではリケルメ→高原ラインのような、両手を耳の横に立てて、ウサギちゃんポーズをやっていた。かわいいおっちゃん。イタリアでは、サッカーはほんといろんな人に幸せをもたらすし、それと同時に不幸をもたらす。負けたら終わり、だものね。パルマの選手は「もう、早く試合終われよ。地元帰りてーよ」といった感じだった。パルマサポーター然り。
とことんイタリアサッカーを味わった最高の一日だった。その後はツアーのみんなと再会して、晩御飯。この頃には、みんなグループ関係なく仲良くなっていて、ほんと修学旅行みたいだった。ビールも飲んだ、うまかった。横ではギターの生演奏にお姉ちゃんが歌っていてた。すばらしいディナーだった。あとは明日帰るだけか、寂しいな。