ラッシュライフ
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/04/24
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 133回
- この商品を含むブログ (805件) を見る
伊坂幸太郎さんの2作目。
”一枚の壮大な騙し絵”のような小説です。
5つの物語が同時進行で進む、群像劇の形をとっております。
拝金主義者の画商である戸田に、泥棒を生業とする黒澤(「重力ピエロ」にも出てきたね)、父に自殺されて神に憧れる河原崎、カウンセラーの京子は不倫相手との再婚をたくらみ、相手の妻の殺害を企てる。そして、職を失い家族に見捨てられた豊田は野良犬と時間を共にする。
これらの5つの物語がゆっくりと絡み合い、最後は一枚の額縁に収まる。そして読者に何ともいえない快感を与える、この手の伊坂さんの作品は、本当に面白い。文章は機知に富み、会話はユーモラスで、達観したとこもあり、読んでいてクスッと微笑んでしまうところも、1箇所や2箇所ではない。
中でも、泥棒の黒澤と無職の豊田さんの物語が、秀逸でした。
僕はやっぱりこの方に惚れているようです。