椿山課長の七日間

椿山課長の七日間 (朝日文庫)

椿山課長の七日間 (朝日文庫)



ある日突然、デパートに勤める46歳の椿山課長は、お得意先との接待中に意識不明となり、そのまま死んでしまう。そして死後の世界で、極楽に行くためのお役所の手続きを踏むところから、この物語は始まる。死後の世界には、「相応の事情」を抱えた者のみが一定の期間、現世に戻ることができる「逆送装置」があり、椿山課長は若い女性の身体を借りて、現世に戻ることを決意する。また椿山課長と一緒に現世に戻った、やくざの武田勇、少年の根岸雄太、この二人の物語も同時に進行する。



とにかく、死後の世界の設定がすごい面白かった。淡々と進むお役所手続きとか、現世に戻るための「よみがえりキット」とか、ナビゲーターのマヤさんとか。マヤさん、絶妙のタイミングで外国語とか混ぜてくるもん。

そんな死後の世界を映し出す前半から一転、中盤→後半にかけては、現世に舞い戻った椿山課長、やくざの武田、根岸少年、それぞれの家族物語、人間模様に終結していく。

中でも、やくざの武田と根岸少年の物語がとても面白く、悲しく、心に来るものがありました。武田みたいなでっかい男は憧れますね。

かなり無理矢理な進行等、物語の筋に「?」を感じる人がいるかもしれませんが、それを差し引いても読み応えのある本でした。